現在日本には、400校を超える寮を備えた高校があるそうです。
私も部活動をするために実家がある関西から関東の高校へ進学した為、3年間女子寮で生活をしました。
いろいろな悩みや、女子寮だからこそ起こるトラブルなども多々ありました。
けれど親元を離れて友達とひとつ屋根の下で過ごした経験は、今ではとてもいい思い出です。
今回は実際に私が経験した寮生活でのトラブルをはじめ、高校生から寮生活をするメリットやデメリットをまとめました。
もう20年以上も昔のことではあるので、現在の寮と呼ばれているものとは異なる部分も多いかもしれません。
けれどこれから寮生活を始めようとしている中学生やそのお母さんお父さんに読んでいただければ、多少のイメージがわくかなと思います。
この記事を読むことで、少しでも不安や心配事を取り除くことができればうれしいです。
女子寮だからこそ起こったトラブルあるある
私は3年間の寮生活の中で、いろいろなことを経験しました。
もちろんいいことばかりでなく、揉め事やトラブルもありました。
育った地域や環境、性格も違う思春期の女子が何十人も一つ屋根の下で暮らすんです。
よく考えてみれば、トラブルが起こらないほうがおかしいですよね^^;
まずは実際に寮に入ることで巻き込まれる可能性があるトラブルをはじめ、私が実際に体験したできごとをご紹介します。
いじめや上下関係のストレス
私が入った女子寮はみんなが部活をしている体育会系の生徒ばかりだったからか、陰湿ないじめはありませんでした。
けれどどうしても毎日顔を合わせて生活していると、合う合わないや、あの子は嫌いというのが出てきてしまいます。
私の学年ではそこまで目立ったものはありませんでしたが、それでも日々いろいろなところで揉めていました。
○○が部屋を片付けなくて困る。
○○は洗濯が終わってもすぐに持っていかないから嫌だ。
そんな文句が出るのはしょっちゅうのこと。
また2年生以降は好きなもの同士で同じ部屋になっていいというルールがあったのですが、仲良くなりすぎて1年後には犬猿の仲になってしまっているということもよくありました。
お互いに寝るまでの時間は他の部屋の友達と過ごし、寝るときだけは部屋に帰るという倦怠期の夫婦のような生活をしている子もよくいましたね。
上下関係についても、かなりいろいろと決まりがありました。
まずは3年生が絶対なので、何をするにも3年生が1番です。
談話室と食堂にテレビが1台ずつあったのですが、談話室は3年生しか入ることはできません。
食堂にも3年生がいれば、チャンネルの決定権はもちろんその先輩。
3年生がいなければ2年生がチャンネル権を持っているので、1年の間は見たい番組をみることなどできません。
自由にテレビが見れるのは、たまに病欠で休んで日中一人で寮にいる時くらいでした。
体育会系なのでこのあたりは一段と厳しかったですが、通常の寮でもやはり先輩後輩という関係はかなり強いと思います。
2年3年になるにつれてだんだんと過ごしやすくはなりますが、1年の間は我慢のほうが多い生活が続くのは仕方ないことかもしれません。
寮内での盗難
3年間の間で何度かあったのが、誰かのものがなくなったりお金が財布から抜かれたという事件。
小さなものがなくなってしまうのは、日常茶飯事でした。
たとえば冷蔵庫には自分のものに名前を書いて入れるのですが、なくなることは結構ありました。
またシャンプーなんかがいつの間にか少なくなっているのも当たり前(笑)
お金がなくなることも何度かありました。
幸い私は被害には合いませんでしたが、1度同部屋の子の財布からお金が抜かれたことがありました。
そうなると一番に疑われるのは私です。
もちろん私はやっていませんが、疑いの目で見られているのではないかというのがとても辛かった覚えがあります。
お金がなくなるトラブルが起きたときには、毎回みんなで集まったり話し合いをしました。
その結果盗ったという子が出てくることもあれば、そのまま迷宮入りすることも。
寮だと部屋に鍵などなく自由に出入りできてしまうため、そういった盗難が起こることは普通に考えられます。
お金などの管理も含めて、寮生活では自己管理が必要です。
インフルエンザや感染病の集団感染
もうひとつ、寮だからこそ流行ってしまうのがインフルエンザや胃腸炎などの感染病です。
毎年1月2月には、必ず誰かがインフルエンザをもらってくるんですよね。
そうなるとしばらくは寮内での感染が続きます。
一人発症すれば、だいたい2~3日後には同部屋の子もダウン。
そして数日後には他の部屋の子もダウン。。。とインフルエンザの無限ループの始まりです。
もちろん感染者が出たら隔離部屋のような部屋をつくって、みんなその部屋へお引越し。
その時期は常に2~3人は隔離部屋で寝込んでいる状態が続きます。
病気になると寮母さんがおかゆなどは作ってくれましたが、母親のようにつきっきりで看病してくれるわけではありません。
なのでひたすらよくなるまでは、隔離部屋で寝ているしかありません。
病気になった時が一番、寮生活をしていて辛い時間かもしれませんね。
そんな辛い思いをしないためにも、体の自己管理も寮生活では大切でした。
男子生徒の連れ込み
これはさすがに私が寮にいる間にはありませんでした。(私の知る限りではですが。)
けれど過去の先輩には、こんなことをしたツワモノがいたと聞きました。
そんな危険なことをしなくても、どっか他の場所で会えばいいのにって思いますが、思春期真っ盛りですからね^^;
こういうことをしたいお年頃なんです。
そういったことができてしまうかどうかは、寮の管理方法次第かもしれませんね。
女子生徒同士での恋愛
これもよくある話です。
そして実際に、私が在学中にもありました。
もともとスポーツしている女子ばかりの寮ということもあって、女子から見てもかっこいい先輩なんかがいたことも影響はしていると思います。
けれど高校の間に自分の趣味に目覚めて、そのまま現在も女性と付き合っている友達もいます。
これは女子寮だったからなのか、それともその子がもともと持っていたものなのかはわかりません。
けれど寮生活をきっかけに目覚めるということもあるかなとは思います。
高校で寮生活をするメリット
高校で寮生活をしてよかったなと思えるメリットは、とても多いです。
実際に私も、その時は面倒に思うことがとても多かったですが、社会に出てから役に立つことがたくさんありました。
身の回りのことは、自分でできるようになる
家にいる高校生なら、洗濯は母親がしてくれるのが当たり前ですよね。
体調が悪い時には病院まで連れて行ってくれたり、お金も『お小遣いがほしい』と言えば、お札がもらえるかもしれません。
けれど寮生活をしていると、すべて自分でしなければいけません。
毎日の洗濯はもちろん自分でします。
部屋の掃除だって、自分がしなければ誰もしてくれません。
歯医者の予約だって、痛いと思えば自分でするしかないんです。
お金も足りなくなれば、自分で銀行へ行っておろす必要があります。
社会人で一人暮らしをすれば当たり前のことなのですが、ずっと実家暮らしだとする必要のないこともすべて自己責任で自分でやる必要があります。
そんな基本的な生活に必要な力は、すべて寮生活で身につけることができました。
なので寮を出てから一人暮らしをはじめても、困ることはほとんどありませんでした。
規則正しい生活が送れる
朝は6時半に起床の音楽が鳴って、一斉にみんなで廊下に並んで点呼があります。
その後食事の時間も決まっていますし、学校は近いので遅刻することもありません。
帰ってきてからも夜ご飯も時間が決まっていて、その後はお風呂に入って22時には消灯。
こんな規則正しい生活、自宅にいるとなかなかできないですよね。
礼儀や社会に出てからの人間関係が学べる
寮での上下関係や人間関係は、もちろん学生特有のものもありました。
けれど実際社会に出てからも、同じような上下関係や人間関係ってつきものですよね。
その中でいかにうまく生きていくか、そんな術を寮生活で養った気がします。
寮と言う逃げ場がない場所だからこそ、うまくやり過ごす方法なんかも自然と身につきます。
先輩には気に入られておいたほうが得だったり、あまり友達と仲良くなりすぎると衝突してしまうことなんかも、寮での経験から学んだことです。
おかげで社会へ出てからは、ほとんどそういった問題にぶつかることもなく、うまくすり抜けてこれた気がします。
一生付き合える友達ができる
高校時代にできた友人とは、その後も長く付き合う場合が多いのではないでしょうか?
ある程度性格や好みもハッキリしてくるので、似たもの同士や気の合う友達ができやすいのも高校時代です。
ですが寮生活を送ると、学校や部活でできる友達以上に深い友達関係を築くことができます。
やっぱり3年間、ひとつ屋根の下暮らした仲間というのはとっても大切です。
同じ釜の飯を食べてお風呂も一緒に入って、ある意味兄弟よりも深い付き合いをするんです。
なのでいいところも悪いところも分かり合える、そんな友達ができるかもしれません。
私も寮生活を共に過ごした友達とは、20年たった今でも付き合っています。
会うたびに20年前の寮の笑い話などをしたり、あの時は同だったと言う昔話に花が咲きます。
そんな時に、この友達と出会えた寮に入って本当によかったなと思います。
そんな普通の学校生活ではできないような人の絆ができるのも、私にとっては寮のメリットでした。
お金の管理ができるようになる
私の場合はアルバイトは禁止だったので、自由に使えるお金は親からの仕送りのみでした。
けれどその中から、試合へ行く電車賃や土日の昼夜ご飯、洗剤やシャンプーなどの日用品も購入しなければいけません。
月に3万円のお小遣いをもらっていましたが、実際に自由に使えるお金は1万円ほど。
少しでも自分で使えるお金が増えるようにと、いろいろ節約をする術も身につきました。
スーパーへは19時以降に行って割引品を購入したり、少しでも安い薬局を探したり・・・
自分で通帳を記帳したりお金を引き出したりもしなければいけないので、高校時代に現在の金銭感覚が身につきましたね。
これはなかなか自宅にいると身につかなかった力だったかなと思います。
親子の関係がよくなる
これはもともと仲がいい親子には当てはまりませんが、中学で反抗期真っ只中の子供だった場合です。
私は中学時代はとっても反抗期がひどくて、親とはほとんど口をきかない状態でした。
とにかく親が口出ししてくることすべてがうっとうしくて、話したくない!顔も見たくない!という状態。
そんな時に寮へ入ったので、しばらくは特に実家へも連絡もしませんでしたし、帰省できるのは部活の休みがあるお盆と正月の3日間ずつだったので、私的にはとっても気楽でした。
けれど寮に入ってしばらくすると、毎日自分の洗濯をはじめ身の回りのことをすべて自分知んなければいけない生活に疲れてきました。
もちろん自分で行くといったので親に弱音を吐いたりすることはありませんでしたが、少しずつ今まで親がいてくれたありがたみを感じるようになりました。
そして高校2年になる前に、私は怪我をしてしまい部活に参加できない時期が続きました。
せっかく強くなるために寮にまで入ってきたのに、その後の道を絶たれたような気がしてかなり精神的に参ってしまいました。
周りの友達に相談したくても、みんな自分のことで一生懸命がんばっているし、弱音を吐きたくない。
そんな強がりな性格の私が最後に頼ったのは、やはり母親でした。
初めて母に辛いと伝え、泣きながら電話をしたことは今でもよく覚えています。
それからは電話も何かあるごとにするようになり、だんだんと親との壁もなくなっていきました。
私にとってはこの寮生活が、両親との距離もとても近いものにしてくれたなと感じています。
少なくとも親と離れて生活することで、親のありがたみを感じるようになったのは事実です。
なのでもし今、親との関係、子供との関係がうまく行っていない場合は、もしかすると一度離れてみることで改善するかもしれませんよ。
子供が自立する
とにかく3年間寮で過ごすことで、自立をします。
親が近くにいれば何でも頼れるところも、自分でしなければいけない、自分で考えなければいけません。
自分のことは自分で決めて、自分でやる。
そんな当たり前のことですが、なかなか最近の子はできていない子も多いように感じます。
私にとっての寮生活の3年間は、一人で生きていく為の生きる力が身についた3年間だったなと思います。
高校で寮生活をするデメリット
寮生活に入るデメリットも、もちろんあるとは思います。
実際私は、デメリットよりメリットのほうが多かったと思っていたのですが、それは子供側から見た意見かもしれません。
親から見ると、子供の成長にはメリットは多いですが、子育てとして考えるとデメリットも多いのかもしれないです。
親の目が行き届かない
まずは子供の成長を3年間、身近で見ることができないというのは親にとっては寂しいことかもしれません。
また悩んでいたり体調がよくなかったりと、毎日顔を見ていれば気づけることにも気づいてあげることはできません。
特に人間関係で悩んでしまったときなどは、近くにいてあげて話を聞いてあげるだけでも何か解決の糸口が見つかる場合もありますよね。
そんな小さな変化を気づいてあげられないということが、一番親としては心苦しいところかもしれませんね。
逆に悪い友達と付き合ってしまったり、親が望まない方向へ進んでしまうことを止められないということも。
高校生なので善悪の区別はある程度つくはずですが、まだまだ流されやすい年頃です。
寮に入っていればそういったことも少ないかもしれませんが、やはりどういった友達と付き合っているのかなど気になるところではありますよね。
ホームシックにかかる子が多い
逆にこちらは子供側のデメリットです。
15歳とはいっても、まだ心は完全には大人になりきれておらずお母さんが近くにいてほしいという子もいます。
やはり入寮してから1ヶ月ほどは、どうしてもホームシックにかかる子も多いですよね。
友達の中には、毎日泣きながら実家へ電話している子もいました。
どちらかというと自分で入寮を決めた子より、親に進められて寮に入った場合などはホームシックにかかってしまうことが多いかもしれません。
入学してまず最初に帰省できるタイミングのGWまでは、特に辛い時期です。
そこまでまずは何とか頑張れるように、電話がかかってきても励ましてあげることが必要です。
退寮=退学になってしまうことも
家から学校が遠いために寮に入った場合は、退寮をすると退学になってしまうというパターンも少なくありません。
実際にもし私が退寮してしまっていたら、もちろん自宅から通うなんてことは無理でしたから退学するしかなかったと思います。
どうしても寮生活になじめなくて退寮をして、アパートを学校の近くに借りて母親と一緒に生活をしている子もいました。
もちろんその場合は、お父さんは地元で1人暮らしです。
けれどさすがになかなか、そこまではできないですよね。
なので寮を出ることになると、退学になってしまうかもしれないというのもデメリットのひとつです。
けれど全寮制の学校の場合などは、病気などのやむを得ない理由であれば認められる場合はあるようです。
もちろんその場合は、自宅から通える距離である必要があります。
お金がかかる
もうひとつ気になるのが、寮に入った場合の費用です。
一般的に食事もついている寮だと、月5万~10万程度の費用が寮費としてかかります。
それ以外にも入寮費がかかったり、また身の回りのもの一式(布団や家電が必要な場合もある)を揃えないといけないため、入寮時にはいろいろとお金がかかります。
もちろん寮費とは別に、授業料や入学金などの学費もかかるので、寮に入れるとなるとかなりの出費ですよね。
後は別途食費やお小遣い、交通費などがかかる場合もあります。
食費は月~日曜まで3食すべて出るのであれば問題ないですが、そうでない場合もあります。
私が入った寮は、平日は朝昼晩の食事つき(昼食は学食の食券がもらえる)、土日は朝のみパンが出て昼夜は自分たちで自炊や買って来るという感じでした。
はっきり覚えていませんが、寮費は7万円だったような覚えがあります。
私の場合スポーツ推薦で進学したので、入学金や授業料などのお金は免除されました。
なので月々は7万円の寮費+3万円のお小遣い(食費や遠征費込み)の10万円を仕送りしてもらっていました。
定期代などを考えたとしても、家から近い公立高校へ通ったりするよりはやはり確実にお金はかかりますよね。
あともうひとつ自宅から遠い場所の高校だった場合にかかるのが、帰省するときの費用です。
新幹線や飛行機で帰省しなければいけない場合は、毎回帰省時にその費用がかかります。
たくさん子供の顔を見たいけど、それにもお金がかかる・・・となんとも辛いですよね。
子供を寮に入れる時には、やはりなるべく金銭的な部分は多めに考えておいたほうがいいと思います。
寮に入る前に、確認したいこと
寮といってもさまざまな寮があります。
全寮制の高校もあれば、自宅が遠い生徒のみが入れる寮がある場合、またひとつの部活で寮がある場合なんかもあります。
寮に入る前には、あとあと入ってからこんなはずではなかった・・・とならないためにも、確認しておいたほうがいいことをまとめてみました。
- 一人部屋か複数人同部屋か
- 毎年部屋変えがあるか
- アルバイトはできるのか
- どれくらいの頻度で帰省できるのか
- 寮母さんや頼れる存在がいるのか
- 学校との連携はとれているのか
- 食事は土日も出るのか
- 食事は誰が作るのか
- 学費、寮費以外にかかる費用
このあたりを確認しておかないと、後々いろいろとトラブルになるかもしれません。
特に寮のルールが厳しい場合などは、それだけで気持ちが負けてしまうこともあります。
それに帰省できる頻度や、寮でかかる費用などもわかるのであれば確認しておいたほうがいいです。
最近は高校生からバイトをして自分のお小遣いを稼ぐ子もたくさんいますが、寮の場合はバイト禁止の場合が多いです。
そうなると必要なお金はすべて親がお小遣いとして渡さなければいけないので、必要経費をわかっておかないと後で大変になりますよ。
なかなかこういったことを前もって聞ける機会もないかもしれません。
けれど寮の説明会などがある場合は、気になることは確認しておきましょうね。
また調べてみたところ、全国私立寮制学校協議会 という団体で、寮がある学校の合同説明会があるようです。
この中に含まれている学校を検討している場合は、説明会を利用してみてもいいと思いますよ。
まとめ
高校生から親元を離れて生活をさせるというのは、親にとってはとても寂しくて勇気のいることかもしれません。
けれどもし、子供が自分で行きたいといったのであれば、ぜひ可能な限り背中を押してあげてほしいなと思います。
けれど寮に入るからには、親も子もある程度の覚悟が必要です。
入ってから『こんなはずじゃなかった・・・』とならないように、しっかりと調べてお互いに気持ちの準備も万端にして寮生活を開始しましょうね。
これから寮生活を始めようと思っている中学生、そしてそのお父さんお母さんの参考になれば嬉しいです。
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